プリキュア:少女戦士アニメ、放映7年目 人気の秘密
http://mainichi.jp/life/edu/news/201005 ... 5000c.html引言回覆:
「プリキュア ピンクフォルテウェイブ!」。そんな決めぜりふで必殺技を繰り出し、女の子戦士が敵を倒すテレビアニメ番組「プリキュア」が人気だ。今年で放映7年目となり、90年代のヒット作「セーラームーン」(5年間200回)の放映期間を上回った。勇ましくもかわいい女の子像が時代にマッチしたのだろうか。【山本紀子】
◇友情重視、恋愛要素ない安心感/女の子主体で問題解決/かわいい服装、立ってるキャラ
ソファにちょこんと腰かけ、3歳の娘がプリキュアに見入っている。毎週日曜の番組を録画して、何度も見返すのだ。静かなのはいいが「あまり入れ込みすぎても」。東京都杉並区の父親(29)は時々不安になる。
主人公は2~5人組の中学2年生の女子で、1~2年ごとに変わる。ピンチになると「伝説の戦士」に変身、ミニスカートを翻しながら人間を支配しようとする敵と戦うのがおきまりのパターンだ。3~7歳ぐらいの女児に人気がある。
「魔法使いサリー」「キャンディ・キャンディ」「アタックNo1」……。女の子向けアニメはかつて、魔女の子や孤児、スポ根ものの主人公が、試練を経て成長していく物語が多かった。人類のために「男子並み」に戦うようになったのは、いつからなのか。
「セーラームーンが戦う女子の最初のアニメ」というのはアニメ評論家の氷川竜介さん(52)だ。「女児アニメに定番の学園ものと戦闘ものを合体させたのがプリキュア。勧善懲悪の大衆アニメといえるでしょう」
歴代の主人公はモデルや獣医師になる夢を持ち、友達と力を合わせて戦いながら、夢に向かってがんばる。
「信じあう心があれば、どんな困難も乗り越えられる」
「人のことを思いやるのは大事。だって友達だもの」
そんな熱いせりふが毎回のように飛び出す。
アニメ評論家の藤津亮太さん(41)は「プリキュアの特徴は友情を大切にすること」と話す。セーラームーンとの違いは、恋愛の要素が出てこないことだという。「主人公はかわいいけれど、色気はない。生き生きと人生をエンジョイする女の子の姿が描かれているので、安心して見られるのだと思う」
多くのアニメを分析しているフェリス女学院大の高田明典さん(48)=メディア論=も「セーラームーンは男性に魅力を振りまいていたが、プリキュアは違う。女の子が主体となって戦い、問題解決していく姿が受けたのでは」とみる。
とはいえ、幼児は筋を追っていない、というのは識者の共通した意見だ。
めいに付き合って見ていた漫画家の倉田真由美さん(38)は「1年ごとに主人公がリニューアルするので飽きられず、それぞれキャラが立っているため好みの子に感情移入できる。服装も昔のアニメに比べ圧倒的にかわいく、女の子がとりこになる」とみる。
人気はあっても、戦闘シーンが全面的に受け入れられているわけではない。この春劇場公開されたプリキュアの映画でも、敵が地面を切り裂く場面で顔をおおう女児たちがいた。「昔のアニメに戦いはなかった。どうして必要なのかと思ってしまう」。映画館に3歳と5歳の女児を連れてきた母親(33)はつぶやいた。
◇キャラクター商品、売り上げ年100億円 「使い捨て」疑問の声も
「Tシャツ、靴、パジャマ……。気がついたらプリキュアばかり」。5歳の娘をもつ東京都内の父親(40)はため息をつく。プリキュアは文具や玩具、菓子などあらゆるものに商品化され、子ども世界を席巻。悩む親は少なくない。
番組スポンサーの「バンダイ」によると、プリキュアのキャラクター玩具の09年度売り上げは119億円。シリーズが始まった04年以降、06年度を除いて毎年100億円を超えるドル箱商品だ。
人気は変身アイテムと呼ばれる小物。携帯電話や香水ビンなどの形状で、音や光が出ることも。変身後のコスチュームも売られ、本物になりきることができる。
アニメに登場するグッズを商品化する手法は「キャラクターマーチャンダイジング」と呼ばれる。バンダイは東映側と製作段階からグッズ開発に取り組み、番組に登場したグッズはすぐ売り場に並ぶ。
こうした手法を問題視するのはNPO法人「環境市民」(京都市)事務局長の堀孝弘さん(50)。「1年ごとに新しいおもちゃが売られるが、番組が変われば関心が失われ見捨てられる。アニメはおもちゃのプロモーションビデオに過ぎないのでは」と話す。
堀さんは娘がセーラームーンに夢中になったことからアニメと玩具の関係を調べ、「日本のおもちゃ・アニメはこれでいいのか」(地歴社)を著した。「ドイツでは子どもの発達に合わせ、創造性をはぐくむ息の長い玩具が開発されている。キャラクターの力に頼ったおもちゃがあふれる日本に疑問を感じます」
プリキュア:少女戦士アニメ、放映7年目 製作に携わった鷲尾天プロデューサーの話
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◇自立目指す姿を格好よく--シリーズ第1~5作の製作に携わった東映アニメーションの鷲尾天(たかし)プロデューサー(44)の話
決して人を頼らず、いつも人の助けになろうとする、りりしい女の子を描きたかった。主人公は夢に向かって努力しており、自立をめざす姿を格好いいと思ってほしかった。
女の子も思い切り暴れて爽快(そうかい)感を味わいたい、という気持ちはあると思う。アクションシーンでは、主人公の頭やおなかが殴られたり、血が流れたりしないよう配慮している。一人一人が集まれば大きな力を発揮できる、そんなメッセージも感じてほしい。